不整脈⑥ 心室頻拍(VT)とTdP(torsade de pointes)

心室頻拍(VT:ventricular tachycardia)

心室頻拍(VT)は、心室から速い電気刺激が繰り返し発生する頻脈性不整脈です。
原因として異常自動能、リエントリー、撃発活動(triggered activity)などがあります。

心電図所見:
・HR:120~250/分
・QRS幅:0.12秒以上
・左軸偏位や高度軸偏位(北西軸)を示すことが多い

※心室の調律
心室由来の調律は心拍数によって次のように分類されます。
①心室固有(補充)調律 IVR:HR~40/分
②促進性心室固有調律 AIVR:HR40~120/分
③心室頻拍 VT:HR120/分~

心室頻拍の原因・誘因:
心筋梗塞、Brugada症候群、QT延長症候群、不整脈原性右室心筋症、電解質異常、薬剤、特発性など。

心室頻拍の特徴:
(ⅰ)房室解離 atrioventricular dissociation
心室頻拍の波形内にP波が出現します。

(ⅱ)心室捕捉=捕捉収縮(capture beat)
洞結節からの刺激が偶然心室へ伝導し、一拍だけ正常に近い幅の狭いQRS波が出現します。

(ⅲ)融合収縮
洞調律由来とVT由来の興奮が同時に心室へ伝わり、中間的な形のQRS波になります。

(ⅳ)concordant pattern
胸部誘導の全てでQRS極性が一致します。

鑑別:
変行伝導を伴う−①AT②PSVT③ST
※血行動態が不安定な場合や鑑別に迷う場合は、「まずVTとして対応する」ことが重要です。

心室頻拍の分類:
QRSの形から次の2つに分類されます。
1)単形性VT…同一誘導内でQRSの形が同じ。
2)多形性VT…同一誘導内でQRSの形が違う。

持続時間から次の2つに分類されます。
1)非持続性VT…30秒未満のもの
2)持続性VT…30秒以上のもの

▼ さらに深く理解したい方へ

例)右室流出路(自由壁)起源のVT
①V1、V2で
右脚ブロック型…左室起源
左脚ブロック型…右室起源
②Ⅱ、Ⅲ、aVFで
QRSが上向き…流出路起源 ※下方軸という
QRSが下向き…下壁起源 ※上方軸という
③V5、V6で
QRSが上向き…心基部起源 刺激が心尖部へ向かう
QRSが下向き…心尖部起源 刺激が心尖部から離れる
④QRS幅で自由壁か中隔かをみる
目安 QRS<3.5mm(0.14秒)…中隔起源 中隔は両室を同時に興奮させるため
目安 3.5mm(0.14秒)≦QRS…自由壁起源 左右の心室を順に興奮させるため時間がかかる

ベラパミル感受性心室頻拍(ベラセン)
右脚ブロック型かつ左軸偏位。(左脚後枝起源が多く右脚ブロック型+左軸偏位になりやすい。)
ベラパミルが著効するとともにカテーテルアブレーションの良い適応。

①急性期治療
i)ショック状態では直流通電を行います。
発作が止まらない場合は、アミオダロン(Kチャネル遮断薬)を静注し再度直流通電を行います。
ii)血圧が保たれている場合はアミオダロンを静注し発作の停止を試みます。

②再発予防治療
基礎心疾患のある心室頻拍の再発予防にはアミオダロンやβ遮断薬を使用します。
VTを繰り返す場合はアブレーションや植込み型除細動器(ICD)を検討します。
特発性心室頻拍にはアブレーションが非常に有効です。

①房室解離:房室解離があるとVTの可能性が高い。
②心室捕捉(捕捉収縮) (ventricular) capture beat:洞調律による心室捕捉はVTの可能性が高い。
③concordant pattern:V1~V6のQRS極性が一致しているとVTの可能性が高い。(QRSが全て上向きor下向き)
④0.14秒≦QRS幅はVTの可能性が高い。(0.16秒以上では75%がVTです。)
⑤左軸偏位や高度の(右)軸偏位はVTの可能性が高い。

TdP torsade de pointes

TdP(torsade de pointes)は、多形性心室頻拍の一つです。
QRS波の向きと振幅が基線を中心にねじれるように変化する特徴があります。
HRは約200~250/分。
数秒から数十秒でサイクル長が進行性に延長し発作が止まりますが、TdPを繰り返したりVFになり突然死することもあります。
非発作時(洞調律時)にQT延長を認めます。

心電図所見:
・非発作時にQT時間延長(QT≧0.50秒)
・(PVCによって誘発され)QRS波の振幅が基線の周りを捻じれるように変化する
・HRは200~250/分or測定不能

TdPの原因・誘因:
先天性QT延長症候群、徐脈(高度房室ブロックなど)、薬剤、低K、低Mg、低Ca

鑑別:VFなど

▼ さらに深く理解したい方へ

急性期治療は除細動、硫酸マグネシウムを静注します。
徐脈がTdPの発生の原因となっている場合はペーシングを行います。低K血症などがあればその是正をします。ICD植込みを検討します。

皆さん、今日も本当にお疲れ様でした。

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