※プロモーションを含みます
QRS
QRSは、心室の脱分極(興奮)を表します。
Q波・R波・S波で構成されます。

QRS幅
正常:0.10秒未満
0.10秒以上はwide QRSになります。
wide QRSの原因:
・脚ブロック
・WPW症候群
・心室内伝導障害
・心室性期外収縮(PVC)
・心室調律、心室頻拍
心室内伝導異常
心室内変行伝導とは、上室性刺激が心室伝導系の不応期に入ることで一過性に伝導が遅れ、QRS形が変化する現象です。
多くは右脚ブロック様の形をとります。
心室内伝導障害は、QRS幅≥0.12秒で典型的脚ブロックに当てはまらないものを指します。
心室の興奮(脱分極)とQRSの関係

①最初に心室中隔が左→右へ興奮します
■部分。V1-V2誘導では興奮が近づくので上向きの小さなr波になります。V4-V6では遠ざかるので下向きの小さなq波になります。V3では興奮は平行方向に進むので振幅に変化はありません。
②次に心室中隔が右→左へ興奮します
■部分。弱い興奮なので、心電図にはほとんど影響しません。V1-V2、V5-V6では①と逆向きのノッチ程度です。
③右室と左室が内→外へ興奮します
■部分。V1-V6の全てで興奮が向かってくるので上向きの波になります。
④左室は右室の2~3倍の厚さのため、右室が興奮を終えても、左室はまだ興奮しています
■部分。この興奮はV1-V3では遠ざかるので下向の波、V4-V6では近づくので上向きの波になります。
⑤左室の側壁と後壁、右室の一部が興奮します
■部分。
⑥最後に心室の上方が興奮します
■部分。
R波
R波はP波の後に出現する陽性波で、心室脱分極の主成分です。
正常R波
心電図所見:
・V1:R<S(RV1<0.7mV)
・V5(V6):RV5<2.6mV
・SV1+RV5<3.5mV
※右室高電位・左室高電位を満たさない状態です。
R波の異常
R波増高不良(PRWP)

V1~V3でR波の増高が不十分な状態です。
心電図所見:
・V1~V3でR波が低い(概ねR<Sが持続)
・移行帯はV4以降または消失
原因:前壁心筋梗塞、COPD、左室肥大など
reversed R wave progression(RRWP)
V1→V3へ進むにつれてR波が減少するパターンです。
移行帯は消失することが多いです。
約80%で前壁中隔梗塞を認めます。
reversed r wave progressionの原因:
約80%で前壁中隔梗塞
その他は心筋症など
低電位 low voltage
QRS振幅が全体に低い状態です。
心電図所見:
・肢誘導:QRS≦5mm(0.5mv)
・胸部誘導:QRS≦10mm(1.0mv)
原因:心嚢液貯留、胸水、COPD、肥満、アミロイドーシス、陳旧性心筋梗塞など
高電位(high voltage)
QRS振幅が増大した状態で、主に心室肥大でみられます。
右室肥大(RVH)
右室肥大では右胸部誘導でR波増高などを認めます。

心電図所見:
・V1でR>S
・RV1≧0.7mV
・右軸偏位(または正常軸)
・ストレイン型ST-T変化
原因:PS、MS、TR、ASD、VSD、Fallot四徴症、肺性心など
鑑別:後壁梗塞、WPW(A型)、右脚ブロックなど
右室拡大
V1・V2でrsR’様波形を認めることがあります。
基本的には右室肥大と近い波形です。
左室高電位
心電図所見:
・RV5(V6)>2.6mV
または
・SV1+RV5(V6)>3.5mV
左室肥大(LVH)
左胸部誘導で高いR波を認めます。

心電図所見:
・左室高電位基準を満たす
+以下のいずれか(全てを満たす必要はない)
付随所見:
・V5~V6でST低下・陰性T波(ストレイン)
・QRS幅軽度延長(VAT延長)
・左軸偏位
・移行帯V5~V6
独立基準:
・aVLでR>1.1mV
左室高電位、左室肥大の原因:
心筋症、AS、AR、MR、VSD、PDA(動脈管開存症)、高血圧
左室肥大の鑑別:
左脚ブロック、WPW症候群(B、C型)

左室拡大
心電図所見:
・左室高電位
・V5~V6でST-T変化やq波増大
原因:AR、MR、ASD、PDAなど
※通常、左室肥大や左室拡大の診断には心エコーも行われます。
ER心電図基本編の選択肢と解答を作り、noteにまとめました。
下記から是非、見にきてくださいね。

S波
S波はR波後に出現する陰性波で、心室興奮後半を反映します。
右胸部で深く、左胸部へ向かうほど浅くなります。
SI SII SIII症候群(S1S2S3症候群)
心電図所見:
Ⅰ・Ⅱ・Ⅲすべてで深いS波を認める
原因:
COPD、肺塞栓、右室肥大、気胸、前壁梗塞など
SI QIII TIII
心電図所見:
・Ⅰ誘導:S波
・Ⅲ誘導:Q波+陰性T波
肺塞栓症などでみられます。
肺塞栓症では、SⅠQIIITIIIに加えてV1~V3で陰性T波を認めやすい。一般的に右室肥大は明らかではありません。
慢性肺性心では、SⅠQIIITIIIに加え、V1で高いR波やストレイン型ST-T変化を認めます。右室肥大を伴うことが多いです。
※一般的に肺塞栓症は右室肥大(-)、慢性肺性心は右室肥大(+)

今後も、皆さんと楽しく心電図を学べたらと思います。



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