心電図⑨ ST ST上昇 STが上昇する疾患

※プロモーションを含みます

9回目はST、J点、ST上昇、STが上昇する疾患です。

ST

心室の再分極(プラトー相)を表します。

J点 J波

J点:QRS終末部、ST部分への接合部(junctional point)

J波:J点が1mm(0.1mv)以上のノッチ型orスラー型となるもの
ノッチ型:S波の後ろのJ点が上に尖った波
スラー型:S波がなく、R波の下降脚に肩を張り出すような形

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ST上昇

ST上昇の診断基準

基線を基準にST(=J点)の高さを測定します ※aVRを除く
1)V1~V3では2mm(0.2mv)以上
2)それ以外の誘導では1mm(0.1mv)以上

STが上昇する疾患・病態 初級~中級

①い 異型狭心症
②心 心筋梗塞
③心 心筋炎
④心 心膜炎  
⑤タコ たこつぼ型心筋症
⑥ブル Brugada型心電図
⑦震え 低体温
⑧そう 早期再分極(症候群)
⑨さ 左室肥大
⑩蜘蛛 くも膜下出血
⑪さ 左脚ブロック
⑫非 非特異的ST上昇、非特異的ST-T変化
⑬綾(あ) 正常亜(あ)型
⑭WPW WPW症候群

ゴロ STが上昇する疾患・病態

ミサト「①いかり ②シンジ ③シンジ ④シンジッ! ⑤タコ!」
シンジ「⑥ブルッ⑦震え ⑧そう⑨さ どうせ僕なんて⑩蜘蛛⑪さ!(自虐)」
でも、Mのシンジはすぐにすげーテンション上昇 ST上昇
⑫非常口からそっと見守る⑬綾波と⑭エヴァWPW(エヴァの顔)であった

(a)主要 心臓腫瘍
(b)駅 エキノコッカス心嚢胞
(c)流 心室瘤
(d)通 直流通電後
(e)降下 高カリウム血症
(f)去る 心サルコイドーシス

①い 異型狭心症
②心 心筋梗塞
③心 心筋炎
④心 心膜炎  
⑤タコ たこつぼ型心筋症
⑥ブル Brugada型心電図
⑦震え 低体温
⑧そう 早期再分極(症候群)
⑨さ 左室肥大
⑩蜘蛛 くも膜下出血
⑪さ 左脚ブロック
⑫非 非特異的ST上昇、非特異的ST-T変化
⑬綾(あ) 正常亜(あ)型
⑭WPW WPW症候群

ゴロ STが上昇する疾患・病態
シンジのエヴァが
(a)主要な(b)駅と靴(c)流(d)通センターに(e)降下して(f)去る

ミサト「①いかり ②シンジ ③シンジ ④シンジッ! ⑤タコ!」
シンジ「⑥ブルッ⑦震え ⑧そう⑨さ どうせ僕なんて⑩蜘蛛⑪さ!(自虐)」
でも、Mのシンジはすぐにすげーテンション上昇 ST上昇
⑫非常口からそっと見守る⑬綾波と⑭エヴァWPW(エヴァの顔)であった

異型狭心症

心電図所見:
①STとTが融合して単相曲線状となる
mirror imageがある
③陰性U波が出ることも
心電図は短時間で変化する

心筋梗塞

心筋梗塞については以下のページで説明しています。

心電図⑤ Q波 心筋梗塞(前半)
心電図をわかりやすく説明します。今回はQ波 心筋梗塞(前半)についてです。ブログ 心電図
心電図⑥ 冠動脈 心筋梗塞(後半)
心電図をわかりやすく説明します。冠動脈 心筋梗塞(後半)についてです。心電図検定対策にもピッタリ。ブログ 心電図

急性心筋炎

急性心筋炎は感冒の一亜型です。
感冒様症状を前駆として、心症状をきたします。
初期心症状としては心不全や不整脈による失神や動悸、胸痛など。

ⅠⅡaVLaVF・V3〜V6にST上昇がみられます。

発症1週間後にはSTは正常化。

心電図所見:
①ST上昇
mirror imageはない
③異常Q波
④R波減高
鏡像変化なし。急性心筋梗塞に似た限局性のST上昇がみられることも。房室ブロックや脚ブロックも。

原因:ウイルスや細菌などの心筋感染。これを急性心筋炎といいます。※通常、心膜炎が合併し、心膜心筋炎となります。

検査所見:血中トロポニンT上昇。心エコーでは壁肥厚と壁運動低下。

鑑別:異型狭心症、心筋梗塞、心膜炎、心筋症、たこつぼ型心筋症、Brugada症候群、早期再分極
心筋梗塞との鑑別点はmirror imageがない×、陰性T波がない×など

治療:細菌性心筋炎には抗生剤。ウイルス性心筋炎やアレルギー性心筋炎にはステロイド治療。

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急性心膜炎

心膜摩擦音を認めます。

心電図所見:
①広範囲でSTが上昇(aVR以外) 凹型ST上昇
②広範囲でPRが低下、aVRではPR上昇 ※PR低下が目立たないこともある
③鏡像変化(-)

原因:ウイルスや細菌感染、膠原病、悪性腫瘍の心転移など。

症状:胸痛、発熱など。(胸痛は体位や呼吸で強さが変わります。)
通常、発症数日でST上昇は改善傾向になり、数週~数ヵ月で正常化します。

鑑別:異型狭心症、心筋梗塞、心筋炎、たこつぼ型心筋症、Brugada症候群、早期再分極
心筋梗塞との鑑別点はmirro imageがない×、異常Q波がない×など

心タンポナーデを生じると緊急処置が必要です。

たこつぼ型心筋症

(一過性に)心尖部の壁運動低下が起こります。
急性心筋梗塞に似た胸痛と心電図変化がありますが、左心室の壁運動異常が1つの冠動脈の支配領域を越えて広く存在し、冠動脈には狭窄がないのが特徴です。
高齢女性に好発し、男女比は約1:8です。
通常、冠動脈造影で心筋梗塞を除外します。
一般的には数週間で心機能と心電図変化は回復します。

心電図所見:
①aVR・V1を除く広範囲でSTが上昇
②aVRではST低下
③経時変化あり
④QT延長が特徴的
発症早期に広範囲でSTが上昇します。その後、(巨大)陰性T波を生じます。QT延長が特徴的です。
鏡像変化(-)。通常、異常Q波(-)。

経時変化:急性期にSTが上昇します。その後STは改善。1~3日で陰性T波を生じ、3~7日で陰性T波は浅くなりますが、その後再び深い陰性T波(巨大陰性T波)になります。

症状:胸痛、呼吸困難

誘因:精神的、身体的ストレス

鑑別:異型狭心症、心筋梗塞、心内膜下梗塞(陰性T波)、早期再分極、心筋炎、心膜炎、肥大型心筋症
心筋梗塞との鑑別点は鏡像変化(-)、異常Q波(-)の点

治療:急性期はCCUにて経過観察を行います。特効薬はありません。
流出路圧較差を生じる例ではβ遮断薬が効果的です。

予後:再発は約4%です。低血圧例、流出路圧較差を有する例、心破裂例では予後不良です。

Brugada型心電図 Brugada症候群

心電図所見:
①V1~V3のいずれかでJ点が2mm(0.2mv)以上になる、ST上昇
②rSR´型のQRS

coved型とsaddle back型に分類されます

coved型

type1…coved型 2mm(0.2mv)以上のST上昇と陰性T波

saddle back型

type2…saddle back型 1mm(0.1mv)以上のST上昇
type3…saddle back型 1mm(0.1mv)未満のST上昇

※心電図用紙のV5のJ点からV1、V2、V3まで垂直に線を引くとJ点の上昇を確認しやすい。

危険性はsaddle back型<coved型
鑑別(心電図上):右脚ブロック、心筋梗塞、心膜炎、心筋炎、たこつぼ型心筋症

Brugada型心電図の全てがBrugada症候群ではありません。以下の通りです。

Brugada症候群の診断
・coved型はそれのみでBrugada症候群と診断。
・saddle back型は以下の1つでも満たすとBrugada症候群となります。
1)家系内に45歳未満の突然死やcoved型の人がいる
2)心室頻拍や心室細動の既往がある
3)失神歴がある(他疾患を除外)
4)心臓電気生理学的検査で心室頻拍や心室細動が誘発される

冠動脈造影、心エコー、心筋シンチでは異常ありません。
心室細動により突然死することがあります。

治療:植え込み型除細動器(ICD)

低体温

低体温とは深部体温が35℃以下になることをいいます。
低体温では循環器系に対しては徐脈や心停止といずれも抑制的に作用することが多いですが、心電図ではJ波(Osborn波 Osborn J波)とST上昇がみらます。J波のみの場合もあります。
V3、V4でみられやすい。※Rsr’(rsR’)になることもあります!
著しい低体温(とくに32度以下)は心室内伝導遅延になります。
低体温によるJ波の正確な成因は不明です。

低体温ではその他、洞徐脈や房室接合部調律、PR時間の延長、QT時間の延長、陰性T波、重篤な不整脈をきたすことがあります。直腸温が28度以下でVFになることもあります。

早期再分極

心電図所見:
①aVR誘導を除く、ⅠⅡⅢaVLaVF・V1~V6の2つ以上の誘導でJ波(高さ1mm以上、ノッチやスラー)を認める。
②T波が増高する。
③V4~V6でR波が増高する。(左室高電位ではなく、早期再分極の所見の1つ)
鏡像変化はなし。
波形は日内変動する。

早期再分極に心室細動などを生じると「早期再分極症候群」になります。

健診で早期再分極を認めた場合…失神歴や家族に突然死がなければ、心室細動発生のリスクは低いのでむやみに不安を与えないようにします。

鑑別(心電図上):心筋梗塞、心膜炎、心筋炎、正常亜型(Ⅲ、aVLでのQRSノッチ)

各鑑別疾患の特徴
・心筋梗塞は胸痛があります。心電図で急速な波形の変化や鏡像変化があります。血液検査でCK-MB、トロポニンTの上昇を認めます。
・心膜炎はaVRとV1を除く広範囲でSTが上昇します。aVRを除きPRが低下します。
胸痛や心膜摩擦音を認めます。心エコーで心膜液貯留を認めます。
・Ⅲ、aVLの正常QRS幅のノッチは早期再分極と類似します。V4からV6のJ波が早期再分極の決め手になります。

胸痛とST上昇がある疾患・病態
①急性心筋梗塞
②異型狭心症
③急性心膜炎
④たこつぼ型心筋症

注)どんな不整脈でも不整脈自体によるST上昇は起きません。(VPCでST低下様変化はあります)

※くも膜下出血で起こる心電図変化…ST上昇、ST低下、T波増高、陰性T波、QT延長 (異常Q波はありません!)

非特異的ST-T変化(異常)

病的意義のないST上昇や低下、陰性T波、フラットT波
非特異的ST-T変化の原因:
若年者、自律神経失調症、生理的なもの、低体温、中高年女性
明確な診断基準と治療はありません。
  
ゴロ 非特異的ST-T変化(異常)
①非特異 ②的 ③ST ④T 変化(異常)  

①若年者(“非”と”若”は字が似ている)
②自律神経失調症(“的”と”自”は字が似ている)
③生理的(SeiriTeki)
④低体温(Teitaion)

二次性ST-T変化

◦ST-TとはSTとTのこと
心室の興奮伝導過程の変化で起こります。(一次性ST-T変化は心筋細胞の再分極異常によります。)
ST-TがQRS波形と逆向きになります。幅広いQRS。
二次性ST-T変化がある疾患・病態:
WPW症候群、脚ブロック、心室ペーシング

お疲れさまでした。
STは心電図のヤマです。ここが分かると心電図がぐっと身近になります。次回はSTの続きです。

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