心電図⑭ 電解質異常 カリウム、カルシウム

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14回目は電解質異常です。

電解質異常

心電図で電解質異常を疑ったら、血液検査を行います。

高カリウム血症  hyperkalemia

血清カリウム値≧5.5mEq/L
腎機能悪化によるカリウム排泄の低下やカリウムの細胞外への異常な移動により生じます。

心電図所見:
①テント状T波
②P波の減高・消失
③QRS延長
④PR延長
⑤QT短縮
(非特異的ST変化)
⑥徐脈
⑦洞停止⇒最終的にはサインカーブになる
※血清カリウム値と心電図変化の関係は個人差が大きい。

原因:腎機能低下、カリウム保持性薬剤、副腎機能低下、熱傷など

治療:カルシウム剤の注射、重炭酸ナトリウムの注射、イオン交換樹脂、血液透析。

低カリウム血症 hypokalemia

血清カリウム値<3.5mEq/L
体内の総カリウム貯蔵量の低下やカリウムの細胞内への異常な移動によって生じます。
最も多い原因は腎臓や消化管からのカリウムの過剰喪失です。
症状は筋力低下や多尿などです。重度になると心臓の興奮性亢進も生じます。

心電図所見:
(P波増高)
PR延長
②ST低下 ※ゴロにもあり
③平坦T波
④U波増高
⑤QTU延長 →torsade de pointes

原因:嘔吐、下痢、クッシング症候群、原発性アルドステロン症、利尿剤など

治療:点滴静脈注射や経口剤によるカリウムの補給。

高カルシウム血症 hypercalcemia

心電図所見:QT短縮(ST部分の短縮に伴うQT短縮)

症状:痙攣

原因:副甲状腺機能亢進症、悪性腫瘍、ビタミンD中毒など

治療:
続発性の高カルシウム血症ではステロイドが有効な場合があります。
原発性副甲状腺機能亢進症では外科的治療。
ビタミンD過剰摂取は制限を行います。

低カルシウム血症 hypocalcemia

心電図所見:※ST部分の延長に伴うQT延長、T波の延長はなし
※低カリウム血症との鑑別に有用

原因:副甲状腺機能低下症、慢性腎不全、ビタミンD欠乏症、急性膵炎、薬剤性など

治療:
続発性の低カルシウム血症では血清リンの上昇を防止するために、リン制限食、水酸化アルミニウムの経口投与、またビタミンDの投与を行います。


今日もお付き合い頂きありがとうございました。

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