心電図⑫ QT時間 TdP U波

※プロモーションを含みます

12回目はQT時間、TdP、U波、電解質異常です。

QT時間

Q波の始まりからT波の終わりまで。
心室の脱分極開始から再分極終了まで、つまり細胞内活動電位の持続時間を反映しています。
心拍数の影響を補正したQTcが指標になります。

*QTc=QT/√RR
正常値
男性 0.36≦QTc≦0.44
女性 0.36≦QTc≦0.46

QT時間の短縮

QT時間が短縮する疾患・病態

遺伝性QT短縮症候群(先天性)
高カリウム血症
高カルシウム血症
ジギタリス
抗不整脈薬Ⅰb群(リドカイン、メキシレチン)

ゴロ QT時間が短縮する疾患
Qたん!耳鼻科に行こう! 
QT縮 ギタリス Ⅰb群 伝性QT短縮 カリウム・カルシウム血症

QT時間の延長

QT時間の延長のほとんどがT波の延長によるものです。

QT時間が延長する疾患・病態

先天性QT延長症候群
低カリウム血症
低カルシウム血症
低マグネシウム血症
抗不整脈薬Ⅰa群(キニジン、ジソピラミド、プロカインアミド)
心筋梗塞
たこつぼ型心筋症
くも膜下出血
低体温

先天性QT延長症候群

心筋細胞膜のイオンチャネルの遺伝子異常が原因。
T波異常もあります。
治療:抗不整脈薬Ⅰb群、β遮断薬、運動制限。高リスク患者は植え込み型除細動器(ICD)を検討。
生じる不整脈 torsade de pointes(トルサード・ド・ポワント)→QRS波形が変化する多形性心室頻拍。心室細動に血行動態が近く、突然死することもあります。  

QT延長の診断基準(一部略) QTc=QT/√RR

QTc 0.45~0.46(男性) 1点 QTc 0.46~0.48 2点 0.48≦QTc 3点  

ストレスに伴わない失神 1点 ストレスに伴う失神 2点 

家族に30歳未満の突然死 0.5点 確実な家族歴 1点

合計 1点以下→可能性は低い 2~3点→QT延長症候群疑い 4点以上→QT延長症候群

torsade de pointes TdP トルサード・ド・ポワント

多形性心室頻拍のひとつ。
基線を軸にQRSの極性が上~下~上と捻じれます。多くは数秒から数十秒でサイクル長が延長し、発作が止まりますが、TdPを繰り返したり、VFになることもあります。
非発作時(洞調律時)にはQTの延長がみられます。

心電図所見:
①HRは測定不能のことが多い
②非発作時にQT延長がある 0.5≦QTc
③PVCによって誘発される
④QRS波形の振幅が基線の周りを捻じれるように変化する

原因:Brugada症候群、先天性QT延長症候群、高度房室ブロック、3度房室ブロック、薬剤(抗不整脈薬Ⅰa群、三環系抗うつ薬など)、電解質異常(低カリウム血症、低カルシウム血症、低マグネシウム血症→QT延長)、クモ膜下出血。

鑑別:VF

治療:
急性期は除細動、硫酸マグネシウムを静注します。
徐脈がTdPを助長するときはペーシングを行います。低カリウム血症などがあればその是正をします。
ICD植込みを検討します。

U波

正確な成因は不明(Purkinje線維の再分極?)
正常…(aVR以外で)陽性、高さはT波の5~50%
異常…T波より高いU波、陰性U波
V2やV3でU波は高くなりやすい

異常陽性U波

異常陽性U波の原因:低カリウム血症など

陰性U波

陰性U波の原因:左前下行枝の心筋虚血、著明な左室肥大
V4~V6に出現します。負荷により出現すれば心筋虚血(前下行枝狭窄)があると考えられます。ST低下を伴いやすい。

今日もありがとうございました。

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