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13回目はQT時間、TdP、U波です。
QT時間
Q波の始まりからT波の終わりまで。
心室の脱分極開始から再分極終了まで、細胞内活動電位の持続時間を反映しています。
心拍数の影響を補正したQTcが指標になります。
*QTc=QT/√RR
正常値
男性 0.36≦QTc≦0.44
女性 0.36≦QTc≦0.46
QT時間の短縮
QT時間が短縮する疾患・病態
遺伝性QT短縮症候群 先天性QT短縮症候群
高カリウム血症
高カルシウム血症
ジギタリス
抗不整脈薬Ⅰb群(リドカイン、メキシレチン)
ゴロ QT時間が短縮する疾患
Qたん!耳鼻科に行こう!
QT短縮 ジギタリス Ⅰb群 遺伝性QT短縮 高カリウム・カルシウム血症
QT時間の延長
QT時間の延長の多くはT波の延長によるものです。
特にQTc≧0.50秒ではTdPの発生リスクが高まります。
QT時間が延長する疾患・病態
遺伝性QT延長症候群 先天性QT延長症候群
低カリウム血症
低カルシウム血症
低マグネシウム血症
心筋梗塞
たこつぼ型心筋症
頭蓋内圧亢進(くも膜下出血など)
低体温
抗不整脈薬Ⅰa群(キニジン、ジソピラミド、プロカインアミド)や抗精神病薬(三環系のアミトリプチンなど)、抗生剤など
QT延長の鑑別:QT延長でST部分の延長によるものは低カルシウム血症と低体温のみです。
先天性QT延長症候群 遺伝性QT延長症候群
心筋細胞膜のイオンチャネルの遺伝子異常が原因。
T波異常もあります。
torsade de pointes(トルサード・ド・ポワント)を生じる危険があります。
治療:抗不整脈薬Ⅰb群、β遮断薬。運動制限。
高リスク患者は植え込み型除細動器(ICD)を検討。
QT延長の診断基準(一部略) QTc=QT/√RR
QTc 0.45~0.46(男性) 1点 QTc 0.46~0.48 2点 0.48≦QTc 3点
ストレスに伴わない失神 1点 ストレスに伴う失神 2点
家族に30歳未満の突然死 0.5点 確実な家族歴 1点
合計 1点以下→可能性は低い 2~3点→QT延長症候群疑い 4点以上→QT延長症候群
torsade de pointes TdP トルサード・ド・ポワント
多形性心室頻拍のひとつ。
非発作時(洞調律時)にQTの延長がみられます。
基線を軸にQRSの極性(尖った向き)が上~下~上と変化します。
多くは数秒から数十秒でサイクル長が延長し、発作は止まります。しかし、TdPを繰り返すもの、VFになるものもあります。
心電図所見:
①HRは測定不能のことが多い
②非発作時にQT延長がある 0.5≦QTc
③PVCなどによって誘発される
④QRS波形の振幅が基線の周りを捻じれるように変化する
原因:先天性QT延長症候群、電解質異常(低カリウム血症など)、Brugada症候群、高度や3度房室ブロック、クモ膜下出血、薬剤(抗不整脈薬Ⅰa群、三環系抗うつ薬など)。
鑑別:VF
治療:
急性期は除細動、硫酸マグネシウムの静注。
徐脈がTdPを助長するときはペーシングを行います。低カリウム血症などがあればその是正をします。
ICD植込みを検討します。
U波
U波はT波に続く小さな陽性波です。二峰性T波と鑑別が必要です。
正確な成因は不明(Purkinje線維の再分極とも考えられています)
正常…aVR以外で陽性、高さはT波の5~50%
異常…T波より高いU波、陰性U波
V2やV3でU波は高くなりやすい
異常陽性U波
異常陽性U波の原因:低カリウム血症など
陰性U波
基線より0.5mm以上の低下を陰性U波といいます。
陰性U波は例外なく異常所見です 。
V4~V6でみられることが多い。負荷により出現すれば心筋虚血(前下行枝狭窄)があると考えられます。ST低下を伴いやすい。急性心筋梗塞では、他の心電図の変化よりも数時間前に陰性U波が確認されることがあります。
陰性U波の原因:左前下行枝の心筋虚血、著明な左室肥大など
今日もありがとうございました。
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