発作性上室性頻拍(PSVT)
発作性上室性頻拍(PSVT)は、突然始まり、突然止まる規則正しい頻拍です。
原因の多くはリエントリーです。
発生場所と原因:
心房内や房室接合部で約130~250/分で刺激が発生。
心電図所見:
・規則正しい頻拍
・心拍数約130〜250/分
・narrow QRS
・P波はQRSに隠れて見えないことが多い
PSVTには房室回帰性頻拍(AVRT)と房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT)があります。
治療:
迷走神経刺激、ATP(アデノシン三リン酸)投与、カテーテルアブレーションなど
▼ さらに深く理解したい方へ
房室回帰性頻拍(AVRT)
Kent束・心房・房室結節・心室の旋回経路があり頻拍発作を生じます。
順方向性(正方向性)房室回帰性頻拍(ORT:Orthodromic AVRT)
AVRTの約90%は順方向性AVRTです。
刺激は房室結節を順行性(心房→心室)に伝導し、副伝導路(Kent束)を逆行性(心室→心房)に伝わります。


心電図所見:
・HRは約150~250/分
・narrow QRS regular tachycardia
・RR間隔は一定
・ⅡⅢaVF誘導で逆行性P波(陰性P波)がQRSの直後に出現
※逆行性P波は不明瞭なことも多い
原因:副伝導路(Kent束) WPW症候群に関連
鑑別:AVNRT、洞性頻脈(ST)、心房頻拍(AT)、心房粗動(AFL)
ORTの治療:
治療:
急性期
ATP静注、β遮断薬(プロプラノロール、アテノロール)、Ca拮抗薬(ベラパミル、ジルチアゼム)、Ⅰa/Ⅰc群抗不整脈薬
根治療法
カテーテルアブレーション
逆方向性房室回帰性頻拍(ART:Antidromic AVRT)
AVRTの約10%を占めます。
順方向性AVRTとは逆に、刺激が伝わります。
心電図所見:
・HRは約150~250/分
・wide QRS regular tachycardia
・RR間隔は一定
・デルタ波様の波形を呈する
原因:副伝導路(Kent束) WPW症候群に関連
鑑別:心室頻拍(VT)、変行伝導を伴う上室性頻拍
ARTの治療:
治療:
急性期
ATP静注、β遮断薬(プロプラノロール、アテノロール)、Ca拮抗薬(ベラパミル、ジルチアゼム)、Ⅰa/Ⅰc群抗不整脈薬
根治療法
カテーテルアブレーション
房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT)
約80%がcommon type(通常型)、約20%がuncommon type(非通常型)
房室結節を含む二重伝導路(slow/fast)によるリエントリー。

ⅰ)common type(通常型,slow/fast)
slow pathwayを順行性、fast pathwayを逆行性に伝導します。
突然発症し、突然停止します。

心電図所見:
・HRは約130~230/分
・narrow QRS regular tachycardia
・short RP’ tachycardia(P’R>RP’)
P波の特徴
・約半数でQRSに重なり不明瞭
・約半数で偽性s波(ⅡⅢaVF)として出現
・V1で偽性r´波として出現することがある
・偽性q波はまれ
ii) uncommon type(非通常型)①fast/slow型
心電図所見:
・narrow QRS regular tachycardia
・long RP´ tachycardia(P´R<RP´)
ii) uncommon type(非通常型) ②slow/slow型
心電図所見:
・narrow QRS regular tachycardia
・short RP´ tachycardia(P´R>RP´)
AVNRT全体の原因や治療
原因:房室結節二重伝導路(slow-fast間のリエントリーなど)
鑑別:AVRT、洞性頻脈(ST)、心房頻拍(AT)、心房粗動(AFL)
AVNRTの治療:
急性期
ATP静注、β遮断薬、Ca拮抗薬
根治療法
カテーテルアブレーション(成功率95%以上)
☆AVRTとAVNRTの鑑別(重要まとめ)
AVRT
・ORT(順方向性AVRT)はQRS直後に逆行性P´波(ⅡⅢaVFで陰性)
・ART(逆方向性AVRT)はwide QRS tachycardia、副伝導路を順行伝導(デルタ波様)
AVNRT
・common type(通常型,slow/fast)
P´波が見えない(最多)
偽性s波(ⅡⅢaVF)
偽性r´波(V1)
・uncommon type
①fast/slow型
long RP´ tachycardia(P´R<RP´)
②slow/slow型
short RP´ tachycardia(P´R>RP´)
*AVRTはaVRでST上昇を伴うことがある。
(覚え方 AVRT→aVRでST上昇! AVRの文字が共通!)
PSVT・AT・AFLの鑑別(ATP負荷試験):
アデノシン三リン酸(ATP:アデホス)の静注により、一過性に房室伝導ブロックが生じる(約10秒程度)。
この作用を利用して頻拍の鑑別を行う。
反応の違い
PSVT:頻拍は停止する
AT・AFL:頻拍は停止せず、心房活動のみが明瞭化する
波形の特徴
規則的なP波 → AT
鋸歯状波 → AFL
ATPはPSVTの診断補助と同時に治療的効果も持ちます。
PSVTの急性期治療:
ATP(アデノシン)静注(第一選択)
ベラパミル(静注または内服)
PSVTの再発予防:
Ca拮抗薬(ベラパミルなど)
I群抗不整脈薬(ジソピラミドなど)
必要に応じてカテーテルアブレーション
平常時に伝導障害(脚ブロック)がなくても、頻拍により不応期の関係で心室内変行伝導(右脚ブロック型、左脚ブロック型)となることがあります。
右脚ブロック、右軸偏位になりやすいのは、右脚の不応期が左脚より長いためです。これは機能的ブロックと呼ばれ、病的意義はありません。
右脚(左脚)ブロックにPSVTが合併したもの
3.5mm(0.14秒)以上のwide QRS regular tachycardiaであり、心室内変行伝導を伴うPSVTやVTとの鑑別が必要。
頻拍となり、右脚または左脚の不応期よりも頻拍周期が短くなると、それぞれ右脚ブロック、左脚ブロックとなります。右脚の不応期は長いため右脚ブロック型が多いです。
鑑別:VT (VTと脚ブロックを伴うPSVTとの鑑別は困難なことがあります。)
治療:迷走神経刺激、ATP(アデノシン三リン酸)5~20mg静注。鑑別が困難な場合は直流通電を行います。
心房頻拍(AT)と房室接合部頻拍(JT)
心房頻拍(AT)…心房で刺激が発生します
房室接合部頻拍(JT)…房室接合部(主にHis束)で刺激が発生します
ATとJTの鑑別にはP波の形やPR時間を見ます。
PSVTとVTの鑑別や頻脈の心拍数による鑑別は“”心電図検定2級合格note”で解説しています。
無料公開部分もたくさんありますので、ぜひ御覧ください↓

心房頻拍 (AT/PAT)
心房頻拍(AT)は、心房から異所性刺激が連続して発生する頻拍です。
洞性頻脈(ST)と異なり、洞調律とは異なる形のP’波(異所性P波)が出現します。
心電図所見:
・洞調律と異なる形のP’波が出現
・narrow QRS頻拍
・心房拍数:約100~250/分
・RR間隔は一定または不定
鑑別:ST、AFL、AF
▼ さらに深く理解したい方へ
治療:
薬剤(リエントリーによるATにはⅠa群やⅠc群抗不整脈薬、自動能の亢進によるATにはβ遮断薬)
カテーテルアブレーション(根治率90%以上)
房室ブロックを伴ったPAT(AT)
心房拍数が多くなると(例 心房拍数200/分以上)、刺激が全て心室に伝わらず房室ブロックを生じます。伝導比は様々です。
Wenckebach周期(徐々にPR間隔が延長してQRSが脱落する)となることもあります。
ジギタリス中毒でみられやすい。
⇒2:1房室ブロックを伴ったAT
例えばP波が180/分、QRSが90/分出現するものをいいます。
鑑別 ST、AFL、AF、2:1AVB
心房内の複数で異所性自動能の亢進が起こります。
発症の背景に慢性肺疾患などがあります。
心電図所見:
・3種類以上のP波がある
・RR間隔は不整
COPDなどの肺疾患が基礎にあることが多い
皆さん、今日もお疲れ様でした。



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