不整脈④ 心房粗動と心房細動

心房粗動 (AFL)

心房粗動(AFL)は、心房内を電気刺激がぐるぐる回る(リエントリー)ことで起こる頻脈性不整脈です。
心房は約250~350回/分という非常に速い頻度で興奮しますが、すべての刺激が心室へ伝わるわけではありません。そのため、房室結節で刺激が間引かれ、2:1伝導や4:1伝導となることが多くみられます。

心電図所見:
F波(粗動波)がみられる
・Ⅱ Ⅲ aVFでF波が目立ちやすい
・心房拍数は約250~350回/分
・2:1伝導では心拍数は約150回/分
・RR間隔は一定のことが多い(不規則になることもある)

ポイント
AFLは、まず「ノコギリ歯状のF波」と「2:1伝導で約150回/分」という2つを覚えましょう。

多くは右房内の大きな単一回路のリエントリーによります。
240~440回/分の頻度で粗動波(F波)を生じます。
多数の興奮は房室結節を通過出来ず2:1 ~4:1伝導になりやすです。
刺激が三尖弁輪を旋回するcommon type(通常型)と刺激が三尖弁輪以外を旋回するuncommon type(非通常型)に分かれます。

①common type AFL…刺激が三尖弁輪を旋回
下記の2種類があります。
心室側から三尖弁を見上げて
1)反時計回り:順方向
2)時計回り:逆方向(reverse common)

1)common type AFL 反時計回り:順方向…ⅡⅢaVFで陰性F波、V1で陽性P波、V6で陰性P波

2)common type AFL 時計回り:逆方向(reverse common)…ⅡⅢaVFで陰性F波、V1で陽性P波、V6で陰性P波

心電図所見:
・Ⅱ Ⅲ aVFでF波がみられる
・F波数は250~350/分
※F波数が250/分未満の場合は心房粗動の波形であっても心房頻拍とすることが多い
・伝導比は一定(2:1~4:1が多い)の場合と不定の場合がある
・HR約75~150/分

②uncommon type AFL…刺激が三尖弁輪以外を旋回します。
uncommon type AFLはATの一種とも考えられます。

鑑別:
伝導比が一定のAFL → ST、AT、PSVT
伝導比が不定のAFL → AF

検査:
心不全の有無を確認
胸部X-p、心エコー、血液検査など(基礎疾患の検索)

治療:
発作停止
 薬剤による停止
 静注:プロカインアミド(アミサリン)、ジソピラミド(リスモダンP)
 経口:キニジン(キニジン)、ジソピラミド(リスモダン)
 心房ペーシング(心内ならびに経食道ペーシング)
 直流通電
抗不整脈薬Ⅰa群、Ⅰc群の効果は高くありません。カルディオバージョン、房室伝導を抑制するβ遮断薬でレートコントロールを行います。 
血栓予防のために抗凝固薬を使用します。
カテーテルアブレーションによる根治率は95~97%と非常に高い。

Ⅰc flutter
Ⅰc群ナトリウム遮断薬によって心房細動が心房粗動に移行することがあります。
その理由はⅠc群が不応期を延長させるためです。心房粗動は心房細動に比べて高度の頻脈になることが多く、循環動態が不安定になります。

心房細動(AF)

心房細動(AF)は、心房内で多数の電気刺激が無秩序に発生し、心房が正常に収縮できなくなった状態です。
そのため心房は細かく震えるだけになり、刺激は不規則に心室へ伝わります。また、心房内では血液がよどみやすくなるため、血栓ができて脳梗塞の原因となることがあります。

心電図所見:
P波が消失する
f波(細動波)がみられることがある
RR間隔が不規則になる(絶対性不整)
心房拍数は350回/分以上

心房の興奮が一定の秩序を失った状態で心房が機能不全に陥ります。
心房内で多数のマイクロリエントリーや興奮が生じるため、心房筋が細かく振動し、しっかりした収縮が行われない。

無秩序な心房電位がf波(細動波)になります。
f波数は350/分以上。
f波は波形、振幅、ベクトルが一定せず、右房に近いV1誘導で良くみえます。(洞調律ではP波はⅡ誘導で良く見えます)
未治療の心房細動はf波数が350/分以上、HRが100~200/分。
高齢者では房室伝導の機能低下でHRが100/分以下になることもあります。
※心房細動が数日間続くと心内血栓を生じ脳梗塞になりやすいため、早期に抗凝固療法を開始します。

心電図所見:
・P波がない
・V1にf波を生じる f波がはっきりしないことも
・f波数は350/分以上
・RR間隔が不規則 ※ただし、心房細動に3度房室ブロックを合併するとRR間隔は一定になる

心房細動は、持続時間により以下の3つのタイプに分けられます。
①発作性心房細動 PAF paroxysmal atrial fibrillation:7日以内に自然停止するもの
②持続性心房細動 persistent atrial fibrillation:7日以上持続するもの
③長期持続性心房細動 longstanding persistent atrial fibrillation:1年以上持続するもの

HRによる心房細動の分類
(心室応答の早い)心房細動:100/分≦HR
心室応答の遅い心房細動:HR<100/分

鑑別:
心房細動→伝導比が不定のAFL、MAT
心房細動+3度房室ブロック→単なる3度房室ブロック

検査:
AFLと同じ
心不全の有無を確認
胸部X-p、心エコー、血液検査など(基礎疾患の検索)

治療:
リズムコントロール・レートコントロール・血栓予防の三本柱
・発作性の心房細動は発作停止と予防
・慢性の心房細動はHRのコントロール、心不全の治療

発作停止
薬剤による停止
静注:プロカインアミド(アミサリン)、ジソピラミド(リスモダンP)
経口:キニジン(キニジン)、ジソピラミド(リスモダン)
直流通電

内服治療
抗凝固薬(ワーファリン等)、抗不整脈薬(Ⅰ群:リズムコントロール、Ⅰ群・Ⅲ群:レートコントロール)

カテーテルアブレーション(近年は治癒率が向上)

(ジギタリスはレートコントロールではなく、強心作用目的。抗不整脈薬によるリズムコントロールは 
確実性に欠けます。)

WPW症候群ではAFの刺激は副伝導路から心室に伝わりやすい。
(理由 副伝導路の不応期は房室結節の不応期よりも短いため。)
デルタ波によりwide QRSになりVTに似た波形になる。このためWPW症候群に伴うAFを偽性心室頻拍といいます。

心電図所見:
・不規則なQRS幅
・P波がない
・頻拍時にもデルタ波がみえることがある

矢印:デルタ波
不整なリズム、速い心室応答、変化するwideQRS

治療:
血行動態が不安定なら迷わず電気的除細動を行います。
血行動態が比較的安定している場合は除細動の準備下で抗不整脈薬(Ⅰ群)を使用します。
禁忌→房室伝導抑制薬(アデホス、ワソランなど) 

今日はここまでです。
皆さん今日もお疲れ様でした。

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